プログラミング系ブログ

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プログラムやパソコンパーツ関連のことを、まったりと解説したり、しなかったりするブログです。

おすすめ 3D プリンター Qidi Tech X-Max 3 のレビュー

いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
最近、全然記事を書けていなかったのですが、今日は 3D プリンター Qidi Tech の X-Max 3 を買ったので久しぶりに記事を書こうと思います。

筆者はこの X-MAX 3 が 2 台目の 3D プリンターでどちらかというと初心者なので、記事が役立つかわかりませんが、割とよかったので使ってみた感想などレビューを簡単に書いてみたいと思います。注意点もいくつかあるのでそれも書いてみたいと思います。

はじめに

筆者は Amazon タイムセールの時に買った Creality という 3D プリンターメーカーの Ender-3 V2 Neo という機種を気に入って使っていたのですが、造形速度が遅いのと、ABS樹脂を印刷した際に造形物が反ってしまうのが少し不満点でした。
Ender-3 V2 Neo は基本的に 50-120mm/s しか出ませんが、最近は 300-600mm/s で印刷できる機種もあるので、超高速印刷可能な 3D プリンタが欲しいなと思っていたところに、見つけたのが Qidi TechX-Max 3 です。

この X-Max 3 は 10 万円越えとお値段が少し張りますが、600mm/s高速プリントが可能65℃ チャンバーヒータを搭載しているので、3d プリンタの造形にとって一番の敵である「出来上がった造形物が反ってしまう問題」を低減できるという利点があります.というわけで、すごく欲しくなって自分へのご褒美に奮発して買ってしまいました(笑)

ちなみに X-Max 3 は、本体が非常にデカいです。なので置き場所がないよという方は 5 cm ほどサイズの小さい X-PLUS3 の方がおすすめです。造形サイズ以外の基本機能は変わりません。

X-Max 3 の開封と準備

X-Max 3 の開封の様子を何枚か写真で取ったので貼っていきます。だいぶ端折り気味ですが、注意点も書きます。

箱とサイズ
X-Max 3 の本体のサイズは実際届くと想像以上に大きいです...(笑)置き場所はあらかじめ考えておく必要があると思います。しかも 37 Kg もあるので腰をやられないよう注意が必要です...。
ヤマトの配達員さんが階段の上まで運んでくれました。(感謝...。)

段ボール箱を開けたところ
一番上に道具や硬化プラスチック用のホットエンドが入ってますので、カッターで一刀両断しないよう注意です。 道具の入った発泡スチロールを取ると本体があります。コレをそのまま持ち上げると腰がやられるので、本体を傷つけないよう慎重に横から段ボールを切って取り出した方がいいと思います

付属品

お試し用フィラメントやフィラメントボックスなどの付属品も本体の中に入っています。

上蓋を開けた中の様子

上から 3D プリンターの中をのぞいた図です。梱包材などが入っているので取り除く必要があります。

画面の説明通りに梱包を外す

電源を入れると初期設定と梱包材を外していく手順の説明が始まってしまうので、最後まで設定できる場所に置いてから電源を入れた方が良いです。

以下、難所?です。

ネジの取り外し
上の写真ですが、取り外すのがどのネジかわかりにくかったので貼っておきます。

ビルドプレート下の発砲スチロール

ビルドプレートの下に引いてある発砲スチロールは二つありました。一つだと思っていたら落っこちてきたので注意が必要かもしれません。

ビルドプレートには PEI プレートを載せましょう

レベリング前にビルドプレートに PEI プレートを載せたかを必ず確認しましょう載せないとホームポジションに印刷用のヘッドが戻る際に、非接触プローブがビルドプレートを認識できず、ノズルがビルドプレートに激突します。(こういうの早く言ってよ!)

傷が

筆者は無事に傷つきました!皆さんは注意してください。コレ地味にショックだし、初回じゃなくてもホームポジションへ移動させる際には注意しないといけません。 まあ、PEI プレートを載せる&ノズルは固いので傷もつかないし、印刷自体に実害はほぼないんですが、ガガガガガという音と壊れるんじゃないかという不安で精神的に良くないです。仮に起こってしまった場合は、慌てず本体の電源切ってください

フィラメントボックスの先

フィラメントボックスの先は、外してから使う用になってます。ちょっとわかりにくかったので、注意が必要かも。

フィラメントボックスへ付属の乾燥剤を入れる

乾燥剤と青いチューブ、フィラメントをセットしたら、フィラメントを引っ張り出し、フィラメント切れセンサーを通し、本体にセットして使用します。
以上、簡単な説明ではありますが、こんな感じで説明書や画面の表示を見ながら設定していきました。

他社の機種との比較

ここでは、X-Max 3 と他社の同じような価格帯の機種との比較をちょっと書きたいと思います。 ライバル機種には、Bambu Lab P1S や、Creality K1 Max などの機種があります。

Bambu Lab P1S

Bambu Lab P1S は AMS 自動素材供給システムという自動でマルチカラー印刷ができる点が一番の差別化ポイントと思います。他の 3D プリンターでも手動でマルチカラー印刷することはできますが、自動でやってくれるのは今のところ Bambu Lab の製品だけです。ただし、AMS はオプションで別途買うか、あらかじめ付属したものを買う必要があり価格が高くなります。また、AMS を載せる都合で上の蓋を外すといったことができません。そのため、3D プリンターでよく使う PLA 樹脂を印刷する際には、前のドアを開ける必要があります。一方、X-Max 3 では上の蓋が外せるので、前のドアを開ける必要がないというメリットがあります

多色印刷がしたい方は Bambu Lab P1S を買うと幸せになれるかもしれません注意点としては、 X-Max 3 にはあるヒートチャンバーがついていないのと、AMS と P1S はカーボン入りの硬化プラスチックには対応してないようです。 ちなみに、カーボンプラスチックが印刷できる上位機種の Bambu Lab P1C というのもあります。(Amazon では売ってないです。)

Creality K1 Max

Creality K1 Max は、ヒートチャンバーが無い以外では、機能的には X-Max 3 とあまり変わらないと思いますが、初めから AI カメラが搭載されています。 X-Max 3 ではカメラ自体がオプションパーツになっているので、そこが一番違うポイントだと思います。ただし、現時点で製品に不具合も多いようで?Amazonや他のショップでのレビューがあまり良くなかったので、筆者は候補から外しました。

サイズの小さい K1 という製品もあります。

Creality は K2 という製品も 7月?に発売予定らしく、マルチカラー印刷ができるようになるらしいのですが、日本で発売されるのはいつになるかはわかりません。(ちなみに Qidi もマルチカラーシステムを開発中ではあるらしいですが...。)

X-Max 3 の良いところ・良くないところ

筆者が個人的に思う X-Max 3 の良いところ・良くなかったところを以下にまとめて書きます。

良いところ

  • 最大 600mm/s 高速プリントが可能
  • 65℃ チャンバーヒータで「反り」の問題を低減
  • 縦横 325mm × 325 mm、高さ 315mm までの大きいものが作れる
    (フィラメントは大量に要りますが)
  • ソフトウェアのベースが Klipper なので安心
  • Wi-Fi 経由で印刷できる
  • 炭素などが入った固い素材が印刷できるノズルが標準で付属
  • Amazonと提携しているらしいので、Amazonで買うと手厚いサポートで安心

以上が良かった点です。
少し補足しますと、Klipper はオープンソースの 3D プリンタ用ファームウェアなのですが、X-Max 3 は Klipper を基にして作られたファームウェアなので、Klipper の方で新機能が追加された場合の発展性も見込めるのが良い点です。

良くないところ

  • 本体がデカい
  • 多色印刷はできない
  • AI カメラはオプション
  • 純正ノズルが高い
  • 動作時に付属のビルドプレート用のシートを取り付けておかないと大変なことになる

以上が良かった点、良くなかった点になります。

その他

筆者が個人的に書いておいた方が良いかなと思ったことをここに書きます。

本体の水平について

3D プリンターで重要なのは、印刷の際にビルドプレートが水平なことです。これが水平でないと、ビルドプレートから印刷物が剥がれてしまったり出来上がった印刷物が歪な形になったりします。ビルドプレートの水平を調整する機能がどの 3D プリンターにもありますが、限界があるので、床がある程度水平でないと厳しいです。なので筆者は水平器を買って水平を一応測りました。

床をある程度水平にした後でビルドプレートの水平を調整するとよいです。X-Max 3 はあらかじめほぼ水平にして出荷してくれているらしいですが、筆者のやつはちょっとずれている気がしたので調整しました。水平器で厳密な水平を測るのは無理なので、ある程度の目安にしてください。

水平器で床の水平を確認後、ねじでビルドプレートを調整

上のねじを緩めた後で、ナットを締めたり緩めたりして調整します。

ナットを回す

ただし、やりすぎるとナットが外れたりもとに戻すのが大変になったりするので妥協も必要です。最初が一番良かったなんてこともあり得ます...。±0.2ぐらいでもオートレベリングの許容範囲らしいので、ある程度水平であるなら X-Max 3 に勝手に調整してもらいましょう。

頑張ってこのぐらい

床も完全に水平ではないので、筆者は頑張ってもこのぐらいにしかなりませんでした。

Qidi の公式 Wiki の Manual leveling the build platform というところに手動でのレベリング方法が書いてあります。

高さ調整用パーツ

足でも調整できるように調整足パーツを自作して作ったので、STL モデルを Google drive 上で配布しておきます。1 cm 程度までの高さ調整が可能です。
Qidi X-Max 3 の高さ調整用パーツ
印刷してみて、配布しているモデルに不具合あったら教えてください。

Qidi X-Max 3 の高さ調整用パーツ

高さ調整用パーツの印刷の注意点ですが、筆者は強度と耐久性を考慮して、普通の PLA ではなく PLA+ で印刷しました。それと サポート材をつけて、インフィルは 25 % 以上、外周は 6 周以上の strength 設定で作ってください。外れ防止用の爪がついてますが、割れやすいので、基本的に取り外し不可です。

高さ調整用パーツでは、M5 ネジが装着可能な穴を開けています。最終的な高さが決まったらネジで固定できるように作ったのですが、意外とズレないので不要かもしれません。 また、トラス小ねじなどを X-Max 3 のゴム足と台座パーツにねじ止めをすることで固定することも可能なはずです。 一部穴がサポート材で埋まってしまうので、高さ固定用の穴を活用したい方は、図のように support blocker をつけてください。

穴を support blocker で開けたままにする

ネジが回すときに固いので、素手で軽く回せるようにネジ部分と回転台の部分にグリスを塗るのを推奨します。筆者はエースシリコングリースを塗りました。

念のため、ゴムシートも一番下に敷いてます。

印刷時のにおいと安全性について

3D プリンターで印刷した時、プラスチックを溶かすので体に悪いと言われることがあります。正直、一回の印刷ぐらいで放出されるプラスチック粒子で実際に健康被害がでることなんてないと思いますが、臭いのは皆さん嫌ですよね。X-Max 3 にも活性炭フィルターが付いていますが、無いよりマシレベルであんまり効果が無かったので、自分で活性炭を買って活性炭フィルターボックスを自作しました。

こちらの活性炭ボックスも同じく Google drive 上で配布するので、よろしければダウンロードしてお役立てください。ただし、インフィルをむき出しにして印刷するという高度な?テクニックを使っているので、G-code で配布します。Qidi の公式スライサーである、Qidi slicer なら G-code もプレビューできます。

Qidi X-Max 3 の活性炭ボックス

注意点としては、比較的高温になるので、耐熱性の高い ABS で印刷してください。(臭いと思いますが、窓を開けて換気してください。) これも印刷してみて、配布しているモデルに不具合あったら教えてもらえると助かります。

活性炭ボックスのプレビュー

印刷したらチャンバー循環ファンのカバーを外して活性炭ボックスをセットします。カバーは本体の背面のねじで止まっています。

チャンバー循環ファンのカバーを取り外して活性炭ボックスを入れた様子

筆者はこの活性炭ボックスにヤシガラ活性炭を入れて使っています。ただし、入れすぎると X-Max 3 のチャンバー循環ファンが空気を吸い込まなくなるので、活性炭ボックスの半分を目安に入れてください。半年 ~ 1 年ぐらいを目安に活性炭を交換したらいいはずです。たぶん...。

活性炭ボックスで匂いはマシになると思いますが、PLAなどは蓋を開けて印刷しなくてはならないので、気になる方は空気清浄機も併用するとよりよいと思います。

入門機でお悩みの方へ

X-Max 3 は正直高いので、こんな高いやついらない!という方や、入門機にこんな高いお金出せないという方もいらっしゃると思います。 筆者は Ender-3 V2 Neo をおすすめしたかったのですが、製造終了してしまったようなので、今なら進化版の、Creality Ender3 V3 KE をおすすめしておきたいと思います。値段の割に絶対欲しい機能はみんな入ってる感じです。

おわりに

3D プリンターが欲しくても値段が高いので躊躇されている方は多いと思います。ですが、もう売ってないのに壊れてしまったプラスチックパーツや,この世に 1 つと同じものはないものを作れるのは筆者にとって非常にメリットがありました。 今まで壊れて捨てててしまった物の中にもおそらく復活させられたものがあったはずなので、もう少し早く買っておけばよかったと思っています。 いろいろ失敗もするので万人にお勧めできるものではありませんが、作ると楽しいし、勉強にもなるので買って遊んでみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました!